良い子、悪い子、あの子はどちら。
夢喰うあなたは、どちらの子。
お仕置きされるの、どちらの子。
綿菓子のピンクに、マシュマロの白。
金平糖の紫と、飴玉のオレンジ色。
口に入れたならやんわり解けて甘いだろう淡い色が、ふわふわと浮いてはぷくぷくと弾けている。
「……きみの夢は、おいしそう」
眠る子どものふっくらとした頬を、左手でそっと撫でて。
金と銀のリボンがくくりつけられた黒い三日月を、右手でくるりと回す。
ほんの少し刈り取られた夢が、ころり、と転がって甘く微笑んだ。
ちいさな手が、甘い夢の欠片をちいさな口に放り込む。
するとほんのりと、白い頬が甘い色に染まった。
眠る子どものちいさな額に、ちいさくそっと口付けて。
金と銀のリボンがかかった黒い小箱を、枕元に。
冷たい銀色に、華美な金色。
すこしばかり乱暴な灰色と、すこしばかり厳しい黒。
手で触れなくともやんわりリボンが解けて開く小箱から、ぴょんと飛び出してはくるくると跳ねる。
ほんの少し可笑しな夢が、するり、と紛れ込んで軽やかに笑った。
ちいさな手が、愛しい悪夢の欠片をちいさく撫でて。
「……かわりに、おすそわけ」
ほんのりと、ちいさなくちびるに甘い色を、浮かべる。
1
イラスト・漫画 鏡花 様
|